忙しい看護業務のなか、時間を見つけては求人票を眺め、情報を比較し、貴重な休日を使って職場見学。慣れない面接をして、内定をもらい、勇気を出して退職届を提出。余った有休を消化して、心身ともにリフレッシュ。そして、いざ!新しい職場へ!
と、転職の一般的な流れはこんな感じでしょうか。
初めての転職活動は、慣れないことも多く「転職をした」ことが一つのゴールとなりがちです。が、
転職は、ゴールではなく、始まりにすぎません。
特に初めての転職は、今までの職場の常識と新しい職場とのギャップに混乱することも多く、経験があるからと言って、即戦力になれるとは限りません。
経験はあるけれども、自分は新人であることを念頭に入れておかないと、環境の変化へのストレスで心身共に不調が生じる可能性があります。
結果、「前の職場の方が良かった」「転職するんじゃなかった…」と後悔することに。
この記事では、看護師歴13年の私が、転職を楽観的に捉え、初めて転職した職場をわずか4ヶ月で転職することになった経験を含め、転職後の環境変化への対応策を解説します!
看護師の転職後に起こる環境変化
職場による文化・業務内容
自分が常識だと思っていたことが、職場が変わると非常識になる…転職をしたことがある方なら、一度は経験したことではないでしょうか。
具体的には
- 細かい看護手技や使用している医療物品の違い
 - コロナやインフルエンザ等の感染対策
 - 電子カルテの種類
 - 医師や上司への報連相の方法
 - 看護師がしなければいけない業務内容の変化(看護助手がいるかいないかで大きな差)
 - 始業時間前に早めに出勤し、点滴のミキシングを行うなどその職場ごとの独自ルールがある
 
一つ一つは些細な違いかもしれませんが、ずっと自分が実施してきた方法を職場によって変えなければいけません。
その変化の中に、
「この方法あってる?」
「効率悪いな…」
「理不尽なルールだ」
と不満や疑問が生まれることも少なからずあるでしょう。その場の空気を読む力が試され、自分が思うより心身共に疲弊してしまいます。
人間関係
いわずもがな、人間関係も一新されます。新しい職場では、一からの人間関係の構築をしていかなければなりません。
同じ時期に入職した同期がいれば心強いですが、中途採用の場合、同期がおらず自分一人だけの採用であることが多いでしょう。
身近に相談できる人や共感できる人がいるかいないかは、転職後すぐの環境変化へのストレスに耐えることができるか大きく左右します。
勤務体制
勤務体制も職場によって異なります。
そもそも残業時間が多い、少ないという違い。残業時間の取得方法が、数分単位で取れるか、30分単位で取れるかという違いなど。
夜勤回数や夜勤中の仮眠の取り方なども変わり、前の職場より疲労が蓄積されてしまう…という変化もあるかもしれません。
患者層
勤務場所が施設か病院か、外来か病棟か、急性期か慢性期か終末期か、配属された場所が何科か、それだけで患者さんの年齢層や自立度が変わります。
患者層が変わると、求められるスキルや看護の視点、優先順位なども変わってくるので、今まで培ってきた専門性や自信が揺らぐことも。
このように看護師の転職後は、職場による文化・業務内容、人間関係、勤務体制、患者層といった多方面での環境の変化があります。
転職後の戸惑いは誰にでもあり、早く慣れないとと焦る必要はありません。
次に、転職による環境変化に適応するためのコツを解説していきます!
環境変化に適応するための4つのコツ
自己理解を深める
環境変化により、自分が今ストレスをどれくらい感じているか客観的に把握することが大事です。
例えば、暴飲暴食してしまう、家族にきつく当たってしまう、涙が出る、眠れないなど。
人によって反応はさまざまですが、この状態になった時はストレスを溜め込みすぎていると自分で客観的に認識し、ストレスを発散できる行動をとっていく必要があります。
自分の機嫌の取り方をいくつか知っておくことも効果的です。
ストレスの兆候が現れた時ほど、自分を労って休息するようにしてください。
最初の1〜3か月は観察期間と割り切る
転職直後は、前の職場との違いに戸惑うことが多く、納得できないようなこともあるかもしれません。
ですが、最初は基本的に比較せず、職場の特徴を知る期間と割り切って観察し、この職場の普通を理解することが適応の第一歩となります。
それに、「前の職場ではこうしてました」とか言うと嫌われちゃうかもしれないので気をつけましょう。
分からないことがあれば早めに質問し、分からないままにしておくのは良くありません。
すっごく初歩的なことをたくさん質問できるのは最初だけです。時間が経てば経つほど「え?今更?」って思われる可能性があるので、積極的に質問していきましょう。
自分のペースを守る
転職後は、慣れないことも多く、今までのスキルや知識が通用しないこともあり自信を失うことはあたりまえのことです。
今までバリバリ仕事をしてきた人も、新しい職場では新人です。
人から求められていることと、今の自分にできることは違うことを理解し、目の前の仕事を誠実にこなしていきましょう。
周囲と比べず、自分のペースを守ってください。
悩みを一人で抱え込まない
転職直後は、職場での人間関係も構築されていないため、孤立しがちです。
その結果、悩みやつらさを一人で抱え込んでしまうことがあります。
プリセプターや同僚、家族、友人、転職エージェント等自分が信頼できる人に些細なことでも相談しましょう。
人に話すことで今の自分のモヤモヤした感情を言語化することができ、客観的に自分を見ることにつながります。
また、同僚が自分と同じ悩みや不満を持っているとわかるだけでも、孤独感がやわらぎストレスが軽減されます。
それでもダメだ…と思った時は
上記のコツを試してみても、心身に不調が生じる場合、上司に事情を説明して休養することも念頭に入れてみてください。
休養し、心身ともに回復させれば、自分の状況を冷静に見つめ直すことができます。
まだ入職したばかりで休養なんて言いづらい…と感じる方もいると思います。
私もそうでした。一人で抱え込んで最終的に転職したばかりの職場を4か月で退職する結果になってしまいました。
今となっては、短い期間で退職したことに後悔はないですが、当時、上司に退職の旨を伝えた時に、「相談してくれれば良かったのに…」と言われた時は、もう少し自分の素直な気持ちを伝えればなにか別の道があったのかな…と思うこともありました。
正直に話をしても休養させてくれるとは限らないし、そもそも私のように休養させてほしいと伝えられないこともあると思います。
考えた結果、やっぱりここで働き続けるのは無理だなと思うのであれば再転職を検討しましょう。
自分の身体が資本です。健康を害してまで無理をする必要はありません。
再度転職する際は、同じ失敗をしないよう次の職場選びは慎重に行なうようにしましょう。
まとめ
看護師の転職後は、
- 職場による文化・業務内容
 - 人間関係
 - 勤務体制
 - 患者層
 
など多方面で環境変化が起こり、最初は戸惑うのが自然の反応です。
転職による環境変化に適応するコツは、
- 自己理解を深める
 - 最初の1〜3か月は観察期間と割り切る
 - 自分のペースを守る
 - 悩みを一人で抱え込まない
 
この4つがあります。
環境変化によるストレスは自分が思っているより心身を疲労させます。
コツを試してみても、心身に不調が生じ、「しんどい」「つらい」と思うときは、事情を説明して休養することや再転職を検討してください。
どのような結果になったとしても、転職という挑戦を選んだ経験は必ず自分の人生の糧になります。
自分のペースで進めていきましょう!
  
  
  
  

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